プロが入れ知恵してる。絶対

今回は、ひさーしぶりに学生時代に勉強したことを思い出しちゃった…という投稿です。

どっかの行政での4630万円振り込みミスの件で、SNSで『残高665円』がトレンドに上がってきたりと非常に皆さんの関心が高かったですが、とうとう逮捕されましたね。

 

 
正直なことを言うと、返す返さないの前に、事情をきかれた当事者が
「全額降ろした、全部ギャンブルですった」
という発言があった、と聞いた時点で、ああこれ、法律を熟知している誰かが入れ知恵してるな、と思いました。

これ、民法の

不当利得における返還請求

にあたります。

 
これじゃわからないので簡単に言うと、

たとえば、
私が持っている車を、隣に住んでる中学生が、私に無断でSNSで知り合ったFさんに100万円で売った場合、

中学生の手に渡った100万円が「不当利得」になります。

 
これはいいよね。

 
知らないうちに車を売られた私は、当然怒り、車を返せコノヤロー!となります。

何も知らずに車を買って乗っていたFさんは、中学生に対して怒りますよね。
他人の物を売りつけた!?なんてことをしてくれたんだ!払った100万円返せ!となります。

これが返還請求です。

 
で、この中学生が、ちょっと老け顔で、パチンコ屋に入ってもとがめられなかったので、いつの間にか入りびたるようになってしまい、

手に入れた100万円のうち、

 

10万円を飲食などの生活費に
20万円をスマホやゲームなどの商品に
70万円をパチンコの遊興費に

 

使ってしまい、すでに1円も残っていなくて、しかも中学生だから貯金もほとんどない場合、どうやって返すの?

という問題が発生します。

 
こういうことが起きると、マトモな親だったら、子供のかわりに自分が保護者として責任を取り、お金を返します。
ただ、こういうことをしでかす子供は、家庭環境に問題があって、貯金どころか借金(住宅ローン等ではない)で首が回らない、借金はないもののその日暮らしで貯金ができない家が多いんです。

 

全額返せよ!当然でしょ!
アナタには内臓も角膜もありますよね?
と言いたいところですが、法治国家でこれをお国が言い始めたら大問題です。

 
しかも、やらかしたのは責任能力があるようなないような、善悪の区別がついているようなついていないような…の中学生です。

 

このようなケースを想定して、民法121条の2では、簡単に言うと(条文見たかったらネットで検索すれば出てきますので)、

 

未成年の子供がこんなことをした場合、現存利益だけ返還すればいいよ

 

と言っているんです。

 
じゃあ現存利益って何?というと、

 

今の時点で残っている利益

 

です。

 
でも、上の例でいうと、中学生の手元には、現金は1円も残っていません

 

じゃあ現存利益はゼロなのか?

というと、そういうワケにはいかないのです。

 

まず、食費のような生活費は、このお金から支払わなかったとしても当然必要になって出ていくものであり、食べたり家を確保したりして命をつなぐことができた、と考え、現存利益アリ、となります。

 
次に、スマホやゲーム機は、現物として残っているので、現存利益になります。
お金が、同じ価値の商品にかわった、という考えです。

 

最後の賭け事ですってしまったお金がね…私的には納得いかなかったのですよ…。

これ、現存利益ナシで、返す必要がないのです。

 
なんかさ、おかしくない?

 
浪費した時は現存利益がない、と一般的に言われているからこうなるんだよ、と説明されたけど、返ってこない人は「そっか。じゃあしょうがないね」ってなります!?
私がFさんの立場だったら、「内臓売れよ!」と思いますもの。

 
これ、生活保護を受けている人のケースでも同じような判決が出されているんですよ。

だから、今回のナントカさんも、残高665円、ってことは生活に余裕があるわけではなさそうなので、この裁判の判決が自分にも適用される、と考えて、

「ギャンブルで全部すった」

と言っているんじゃないか、と考えてしまったワケです。

こんなの、法律や裁判の記録などを熟知していなければパッと出てくるものではありません。
雇った弁護士かはわかりませんが、誰かが絶対に入れ知恵してるでしょ。

 
本当にギャンブルですったのかもわかりません。
665円でどうやって弁護士費用を捻出したのよ(というか、よく弁護を引き受けたな。私が弁護士だったら絶対にお断り案件だわ)。

私が初めて法律を勉強して「なんだよこれ!?」と思ったのが、この未成年者への不当利得返還請求でした。

未成年者は保護されるべき、の立場から、「いいから全部返せ」にすると特別に保護した意味がなくなっちゃうから、ということなのでしょうが、
ギャンブルで資金をとかすような未成年者って、本当に保護しなきゃいけない対象なの?
という疑問がどうしても残ったんですよね。

 
ギャンブルですった、のヒトコトで、当時のことを一気に思い出しました。

勉強したことって、案外覚えているものらしいです。でもうろ覚えなのでところどころ曖昧なのと、今の解釈では変わっているところがあるかもしれないので、その点はご容赦ください。

 

アナタが勉強していて、または学生時代に勉強したことで、「なんだよこれ!?」と思ったこと、何かありますか?

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