お金で買えない価値がある

……というキャッチコピーのクレジットカードのCMがありました。
今でもこのコピーを使ってるのかな???
確かこの会社さん、

「○○○○○:プライスレス」

なるコピーもよくテレビCMで放映されてましたよね。

さて、このプライスレスというコトバ
price が less なわけです。

価格 が 少ない ではなく、

価格 を つけられない
つまり、「貴重な」とか「尊い」とかいう意味になります。

『世の中ゼニとコンジョウさえあれば……』という名言?を少し前のブログでご紹介しましたが、ゼニとコンジョウではどうしようもないものも確かに世の中には存在します。

そのうちのひとつが、「信用」とか「信頼」とかいうものだと私は思うんです。

社会人時代、独立に向けてとあるビジネススクールで勉強していたことがありました。
そこの主催が投資家さんだったので、商売や投資の勉強としてあるボードゲームがカリキュラムに組み込まれていたんです。
ある程度勝てないと、上のクラスに行けない仕組みになっていました。

このゲーム、結局は、インフラ(鉄道)を押さえるか、相手の窮状につけこんだり交渉したりしてより多くのお金が落ちる土地を買い占めるか(と書いた時点で何のゲーム化わかっちゃいますね)しないと勝てないんです。

負ける=破産する なので。

で、ワタクシ、このゲーム自体を体が受けつけませんでした。
商売のシミュレーション、投資のシミュレーション、と言いながら、ライバルを破産させるようなビジネスなんて絶対にうまくいかないよね、と思ってしまったからです。

ご想像に難くなく、私は弱かったですよ~このゲーム。それはもう、超ヘタレ(笑)。
自分で断言できます。他の人にとって、私はいいカモでした!
ゲームだからと割り切って頑張ろうとした時もありましたが、やればやるほど体が受けつけなくなったので……もうどうしようもありません。
たとえシミュレーションでも、誰かを蹴落とすのは嫌でした。
ビジネスってライバルを倒産させて独り勝ちするようなものではないですから。

で、このビジネススクール、現役の大学生がたくさんいました(所属する8割以上が大学生でした)。
彼らは、授業がなければ集まってこのゲームをやっているようでしたので、とにかく強かったです。

そんな時、ある学生さんとゲームをしなくてはいけない機会がありました。
上のクラスに行くための試験の一環で、です。
そして、この学生さん、普段滅多なことでは怒らない私を大激怒させました。

この方、私に「このカードを売ってください、お金ができて買い戻すまでずっと持ってますから。約束します」と言いました。
私はその学生さんを信じて言い値で売ったのですが、直後に別のゲーム参加者に「いくらなら買います?」と売りつけたんです。

「あなたは私の信頼を裏切った。自分が儲かるためなら平然と人を裏切ってもいいと誰から教わった!?商売人の前に、人として間違ってる!」
私にしてはずいぶん責めたのを記憶していますが、社会人だからこそ言わなくてはいけない、と思ったんです。

その人の言い分は
「これは卑怯な手ではない。どの会社も同じようなことをやっている。口車に乗せられて売る方が悪い」
でした。

騙される方が悪いって、それ、お隣の大陸の国の人がよく言うセリフだよ、とか、この人に内定を出した企業さんはどこに目をつけて採用しているのか、とか、色々思うところはありましたが、本人に反省の色が全くなく、怒るだけムダだと判断。こういう心根の持ち主には二度と関わらない、と固く誓って自分の中で終わらせました。

しかもねー、帰り際に、その子を指導している人が「今回は相手が悪かった」って慰めてたのを聞いちゃったんですよ。
勝つためなら何をしてもいい、と上が教えているということです。これ、大問題ですよ。経営の神様といわれている松下幸之助氏は、『これからの経営者にとって大事なことは、なんといっても人柄やな。結局はこれに尽きるといっても、かまわんほどや。経営者にかぎったことやない。あらゆる指導者にはこのことが強く望まれるな。まず、暖かい心というか、思いやりの心を持っておるかどうかということやね』と言っています。
人を育てることなく、こんなマインドを植えつけることがまかり通っているのだとしたら、このビジネススクール、私とは合わないなぁと判断。拘束期間満了で辞めました。

このビジネススクールってどこですか?と訊かないでね。
調べても出てきませんし、スクールの悪口を言いたくて書いたワケではないので。ボードゲームに関しては、色々思うところはありますが、そういう手法を良く思わない学生さんもたくさんいましたし、ビジネスや経営の基礎はちゃんと教えてくれました(インカムゲイン、キャピタルゲイン、ポートフォリオ戦略、CPO、CPA、CPP…悩まずハキハキ答えられる社会人は少ないと思うよ)。

この学生さん、ゲームには勝ちました。
でも、かわりに失ったものがあります。
そして、それは
お金では買えないもの
でした。ようやく冒頭につながった(笑)。

いつ裏切るかわからない人は信用できない。
こんな人に大事な仕事を信頼して任せることはできない。
だから、この人とは死んでも組まない!
要は、信用と信頼を一気に失ったわけです。まあ、その子にとっては、私の信用や信頼なんかどうでもよかったのでしょうけど(とはいえ、世の中って、どこで誰とどんな風に繋がるかわかりませんから……)。

では、信用と信頼は何が違うのか?

英語にすると一発でわかります。

信用:credit

信頼:trust

です。

credit は、クレジットカードの credit です。
自己破産した人はクレジットカードを作れません。
それは「お金を返せなかった」という実績から、「後払いにした際、お金を払ってもらえないかもしれない」からです。
つまり、それまでの行為や業績などから、大丈夫と判断することが「信用」です。

trust は、「ある人が良い人で正直で、あなたを傷つけないと信じること」という意味です(英英辞典を和訳しました)。
つまり、trust する側の意思があれば、業績や実績とは関係なく、与えられるものなのです。
親子などの家族間に存在するのは、信用よりもまずは信頼でしょう。

ビジネスにおいて、まずは実績を作っていく必要があります。
商品やサービスを提供し、対価としてお金を受け取ります。
貨幣経済が続く限り(お金がこの世からなくならない限り)、この構図は変わりません。

お金をきちんと期限までに支払うこと
相手と合意し、約束した商品やサービスを提供すること

この積み重ねで「信用」ができあがっていきます。

そして
「あの会社はちゃんとサービスを提供してくれるから、今度の新製品も良い物のはずだ」
「あの会社は支払期限までにお金をちゃんと払ってくれているので、今の倍の取引をしても大丈夫だろう」
という「信頼」ができあがっていきます。

これ、子供も一緒です。
毎回きちんと宿題を提出してくる子が、たまたま宿題のノートを家に忘れて来た場合、先生はこの子の言い分を信用し、謝罪を受け入れ「提出は明日でいいよ」と言う可能性が高いでしょう。
では、これが、毎回宿題をし忘れる子供だったらどうでしょうか。アナタが先生だったら「ノートを忘れたって言ってるけど、どうせ宿題もやってないんでしょ」とその子の言い分を信用しないのではないでしょうか(本人に、声に出して伝えるかどうかは別として)。

私たちは、子供の頃から知っていたハズなんです。
信用や信頼は、時間をかけて少しずつ積み重ねていくもので、壊れる時は一瞬なのだ、ということを。
だからこそ、お金では買えない、まさに「プライスレス」なモノなのだということを。

大人になって簡単に忘れてしまうのはなぜなのでしょうねぇ。
昨年、お茶の間を賑わせたワイドショーの不倫報道も、家族の信頼を裏切る行為ですしねぇ。
(そういえば以前、ある方から「女性も不倫している人、結構多いよ」と言われましたが、不倫は1人ではできませんから、同じ数だけ不倫している女性も存在するワケで……💦そりゃそうよ、と思いつつ、神妙な顔で拝聴しました。)

信用、信頼の他に、私にとってプライスレスなモノってなんだろう?
……うーん、そうですねぇ、神佛の存在、両親や先祖親戚、真の友人、これまでの人生経験、「この人と出会えて良かった!」と心の底から思える出会い、自分の思いをまっすぐに伝えられる文章を書く力、ですかね。

アナタにとって「プライスレスな○○」は何ですか?
ぜひ教えてください♪

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